誓願寺

せいがんじ Seiganji

1 概要

一遍上人（ワキ）は従僧たち（ワキツレ）を連れて、誓願寺を訪れる。一遍上人は、三熊野（みくまの）（熊野三山）で、「経を書いた札を配って布教せよ」というお告げを夢で得た。一遍上人は、都にある念仏道場として知られる誓願寺を訪れる。一遍上人は、誓願寺で多くの人々に札を配る。その中にいた一人の女（前シテ）が、「誓願寺」と書かれた額（がく）をどけて、「南無阿弥陀仏」と一遍上人が書いた名号をかけてほしいと頼む。女は、自分が和泉式部の亡霊だと正体を明かして、姿を消す。所の者（アイ）は一遍上人に和泉式部について語る。所の者にも同じお告げがあったと聞いた一遍上人は、額を変える。念仏をしている一遍上人の前に、和泉式部の亡霊（後シテ）が現れる。和泉式部の亡霊は、名号の霊験によって、歌舞の菩薩となったと言う。和泉式部は、誓願寺の由来を述べ、歌舞の菩薩として舞を舞う。

2 上演記録

上演年月日	西暦	記録名	曲名表記
寛正5年4月10日	1464年	糺河原勧進猿楽日記	誓願寺
寛正6年2月28日	1465年	親元日記	誓願寺
寛正6年9月25日	1465年	蔭涼軒日録	誓願寺
文明10年4月25日	1478年	親元日記	誓願寺
天文5年2月12日	1536年	中臣祐金記	誓願寺
天文6年1月2日	1537年	天文日記	誓願寺
天文6年2月24日	1537年	天文日記	誓願寺
天文7年1月2日	1538年	天文日記	誓願寺
天文7年2月13日	1538年	蜷川親俊日記	誓願寺
天文8年1月2日	1539年	天文日記	誓願寺
天文8年3月3日	1539年	蜷川親俊日記	誓願寺
天文9年1月2日	1540年	天文日記	誓願寺
天文9年1月5日	1540年	天文日記	誓願寺
天文10年1月2日	1541年	天文日記	誓願寺
天文10年2月7日	1541年	天文日記	誓願寺
天文11年1月2日	1542年	天文日記	誓願寺
天文12年1月2日	1543年	天文日記	誓願寺
天文13年1月2日	1544年	天文日記	誓願寺
天文15年1月2日	1546年	天文日記	誓願寺
天文16年1月2日	1547年	天文日記	誓願寺
天文17年1月2日	1548年	天文日記	誓願寺
天文18年1月12日	1549年	天文日記	誓願寺
天文18年2月10日	1549年	中臣祐磯記	誓願寺
天文22年1月2日	1553年	天文日記	誓願寺
永禄4年3月5日	1561年	元利元就父子行向雄高山滞留日記	誓願寺
天正12年8月1日	1584年	丹後細川能番組	誓願寺
天正14年2月12日	1586年	丹後細川能番組	誓願寺
天正16年11月1日	1588年	丹後細川能番組	誓願寺
文禄1年5月10日	1592年	能之留帳	誓願寺
文禄2年10月2日	1593年	駒井日記	誓願寺

3 現在の上演流派

五流