忠信

ただのぶ Tadanobu

1 概要

源義経は平家を滅ぼした後、兄の頼朝と不和となり、都を逃れて大和国吉野山（奈良県）に潜伏していた。義経の家来伊勢三郎義盛（いせの さぶろう よしもり）（ワキ）が、今夜吉野山の僧兵たちが義経一行を襲撃するという情報を義経（ツレ）に伝える。そこで義経は吉野山を脱出することにするが、吉野山に留まって敵の襲撃を防ぎ、その上生きながらえて自分に追いついて来られる者が家来の中にいるか、伊勢三郎に尋ねる。伊勢三郎は佐藤忠信（さとうただのぶ）（シテ）を推薦し、義経の前へ召し出す。義経に命じられた忠信は、一旦は辞退するが、義経が再度願うと、武士にとっての名誉であるとして引き受ける。やがて出発の時刻となり、義経と忠信は涙ながらに別れてゆく。僧兵たち（ツレ）が義経のいた館へ押し寄せ、義経を捕らえようと迫る。忠信は高い櫓に走りあがって矢を射ると、その後は太刀で僧兵たちを倒していく。見事に奮戦をした忠信は急いで都の方へ逃れて行った。

2 上演記録

上演年月日	西暦	記録名	曲名表記
応永34年2月9日	1427年	大乗院寺社雑事記紙背文書	忠信
天正12年10月17日	1584年	言継卿記	空腹

3 異名（古名）

空腹[そらばら]／矢倉忠則[やぐらただのり]？

4 現在の上演流派

観世・宝生