玉井

たまのい Tamanoi

1 概要

火々出見の尊（ワキ）は、兄の火闌降の尊の釣針を魚に取られ紛失したため、竜宮へ探しに行く。竜宮の門前にある玉の井の辺りで様子を窺っていると、豊玉姫（前シテ）と玉依姫（前ツレ）が水汲みにやって来る。豊玉姫は、桂木の蔭に隠れていた火々出見の尊を見つけ、声をかける。豊玉姫が父の神の協力を得たことで、釣針の探索と、潮満玉・潮涸玉を火々出見の尊に贈ることが約束される。火々出見の尊と豊玉姫は、夫婦になり三年を過ごし、帰国の準備をする。貝の精たち（オモアイ・アドアイ）が現れ、二人の夫婦仲を祝福し、酒宴を催す。豊玉姫（後ツレ）と玉依姫（後ツレ）が潮満玉・潮涸玉を捧げ、竜王（後シテ）が釣針を捧げ出て、火々出見の尊へ捧げる。二人の姫が舞を舞う。竜王は姫たちに玉を持たせて、陸へと帰る火々出見の尊を見送る。

2 上演記録

上演年月日	西暦	記録名	曲名表記
天文1年4月29日	1532年	言継卿記	玉井
天文13年1月16日	1544年	天文日記	玉依姫
天文15年1月14日	1546年	天文日記	玉井
慶長4年10月4日	1599年	能楽盛衰記	玉井

3 異名（古名）

玉依姫[たまよりひめ]

4 現在の上演流派

観世・金剛・喜多