熊坂

くまさか Kumasaka

1 概要

旅僧（ワキ）が美濃国（岐阜県）赤坂に着くと、一人の僧（前シテ）が呼び止め、今日はある者の命日なので、弔ってほしいと頼む。庵へ案内された旅僧は、部屋に大量の武具があることを不審に思う。所の僧は盗賊の対策に武具を置いているのだと語って聞かせ、寝室へと入った瞬間、姿も庵も消え、あたりは草むらだけになっていた。里の男（アイ）からかつてこの地で亡くなった盗賊、熊坂長範（くまさかちょうはん）について聞いた旅僧は、先ほどの僧が長範の霊であったと確信する。旅僧が弔っていると、長範の霊（後シテ）が現れる。長範の霊は牛若丸と戦った最期の様子を語り、再現してみせるとやがて姿を消した。

2 上演記録

上演年月日	西暦	記録名	曲名表記
永正11年10月28日	1514年	申楽談儀附載	熊坂
天文12年2月12日	1543年	多聞院日記	熊坂
天文17年2月16日	1548年	言継卿記	熊坂
天文19年3月30日	1550年	多聞院日記	熊坂
天文19年4月6日	1550年	多聞院日記	熊坂
天文23年3月12日	1554年	言継卿記	熊坂

3 異名（古名）

幽霊熊坂[ゆうれいくまさか]

4 現在の上演流派

五流